井上ひさし氏と言えば「ブンとフン」。
「ブンとフン」を読んだのは高校生の時、クラスメートにすすめられて読みました。「絶対に試験前に読み始めたらダメだからね」。その忠告通り、読み始めたらやめられないおもしろさでした。でも井上ひさし氏の作品はこの一冊で止まっていました。それ以来数十年ぶりのこの作家の小説でしたが、とにかくおもしろいっ!やっぱりおもしろい!
こういうのを大ドンデン返しというのでしょう。えー、1本取られました~っという感じです。読後感もスッキリ。おもしろかった!という爽快感が広がる楽しい作品でした。
主人公 藤川
話術家、徳川夢声の随筆の中の文。
「重要なことを話すときに声を張りあげるのはかえって逆効果である。むしろ、声を落す方が一座の注意を惹くことができるはずである」
仕事でもボランティアでも、もしいつかまた人前で話す機会があった時は、この一文を意識しようと思います。
この物語は週刊小説に昭和50年に連載された作品だそうで、雑誌が男性ターゲットなのか?女性を性の対象としてしか見ていないような表現が多く、特に女学生に対するセクハラっぽい内容はちょっと不快でした。
昭和50年…。こういう表現は今なら活字にするのは不可かもしれません。内容的には☆5つですが、この点で☆を半分マイナスしました。
こんなにおもしろいのに、もうオバサンのわたしですが、一応女性の一人としてはリアルの知り合いにはちょっと勧められない、残念。と思いました(本を勧めるような親しい相手はいないから関係ないですね(笑))。でも結末の以外さは、今まで読んだ数少ない推理小説の中ではピカ一でした。
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